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人生ぬるま湯主義

つれづれなるままに以下略

望月かすみ連作短歌「神様は熱中症」

「神様は熱中症」作:望月かすみ

 

君となら堕ちてゆくのを望むのに聖女に祀り上げられている

君のいう「なんでもない」は「不機嫌なわけはいいたくない」って意味だ

だとしてもこれはデートだ 帰るまで歯をくいしばり笑って過ごす

ふたりとも大はしゃぎした もうこれが最後だなんて忘れたふりで

おしまいは予想通りに訪れてわたしも予想通り傷つく

くっついて寝るからだって思ってた 君がいなくても夏は暑いね

サポイチを水も時間もきっちりとはかって作るわたしはえらい

きまぐれなやる気は時として罪だ 冷蔵庫にはしなびたレタス

(三文の得でペイするのか)出社前に着替えるため家に寄る

悩みなどない顔をして乗らないと排斥される通勤電車

はじめてのコンシーラーもそういえば首筋用に買ったんだっけ

缶ビールをグラスに注がず流しこむように飲みたい気分の夜だ

熱帯夜乗り越えた服剥ぎ取れば誰に見られるでもなく全裸

その自慢ぬるくなってくギムレットほったらかしにするほど大事?

〈ぼくだけが知ってるきみ〉が好きな人用の笑顔がいくつかあります

終電は各停なのであの駅を避けて早めの準急に乗る

指先が正確無比に定型句入力してる合コン帰り

ぜいたくで潤すこころ 百円じゃない日にミスタードーナツへゆく

溶け落ちたソフトクリーム こうやってわたしは夏にころされてゆく

二本目のワインが空になるまでに帰るかどうか決めとかなくちゃ

サバサバとしているように見せるのは得意 遊びの相手にならば

 十五年前のわたしへ。悪いけどステキな恋はあきらめなさい。

神様が熱中症で真夜中の無駄な涙を止めてくれない

もうすぐで秋がくるのに朝起きてひとりなことが不思議なままだ

居場所なんて変えても「そこ」が「ここ」になるだけってことに甘んじていく

 

 

 

※望月かすみは、根本博基の想像による架空の人物です。

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