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人生ぬるま湯主義

つれづれなるままに以下略

連作短歌「ヌジャボホロ星から来た男」

明日からホームステイに来るというヌジャボホロ星人の男性


「地球へは観光ですか?」「仕事です。ケイ素が安く手に入るので」


「地球にはこれがはじめてです。空の色が違って新鮮ですね」


「話には聞いてましたが四つ脚のけものを見ると驚きますね」


「ヌジャボホロ星といっても広いので国や文化もいろいろですよ」


異星より来たる男が住む国の名前を書ける仮名がないこと


異星より来たる男が母国語で話すしらべは雅楽にも似る


異星より来たる男が舞う 違う 翻訳機電池切れのサインだ


異星より来たる男が熱心にカメラを向けるシンクの蛇口


異星より来たる男と妻の愚痴を語ったのちに交わした握手


「有機物製のメディアは希少です。それは? システム手帳? なるほど」


〈ヌジャボホロ星人用の食事には塩の使用は厳禁のこと〉


アルコールにて酔っぱらう我々のようにカロテンにて彼は酔う


人前でパンツを脱がぬ我々のように帽子を彼は脱がない


「地球では自転が少し速いので急かされている気になりますね」


「僕の住む国にも四季がありますが日本はずっと秋って感じ」


「お土産にします」と笑う彼の手のポケットティッシュで笑うデリ嬢


書店にて旅行雑誌を眺めれば飛びこんでくるヌジャボホロツアー


ヌジャボホロ旅行は妻の名において却下「あの星臭いんでしょう?」


星空を見るヌジャボホロ星にいる七本脚のけものを思う